これぞ喫茶店という懐かしい雰囲気で、地域の方の憩いの場
2024/11/18
玉出駅からすぐ近くにもうすぐ50周年の喫茶店がある。ドアを開けると“カランカラン”と言うドアベルが鳴り、懐かしい時代にタイムスリップしたような気持ちになった。
店内にはジャズがかかっていて、レトロな雰囲気の中、ゆったりと過ごすことができる。
“プロコップ”という店名は、パリで最も古く、そして現存する世界最古のカフェ•レストラン“ル•プロコップ”から由来している。
“プロコップ”という名前を使用している店舗は他にもあるが、このお店は、オープン時にフランスへ行かれた画家の綱島徹夫先生にお願いして、店名を使用させていただく許可を得てもらったお店だ。
店内に飾ってあるパリの橋の油絵は、今は亡き、綱島先生が店主の両親にプレゼントされたもの。来店時には是非見ていただきたい。
コーヒー、ナポリタン、ホットケーキ、カレー、ミックスジュース、クリームソーダなどは、ザ•喫茶店という定番のメニューだ。ママカレーは、店主がこだわって作っている一品だ。
ナポリタンは、これぞ喫茶店のナポリタン!という、シンプルが好きな筆者好みの味わい。
クリームソーダは、見た目から懐かしい。ソフトクリームは北海道生乳を使用しているので、濃厚な味わいだ。
“濃厚ミルクソフトクリーム”を注文すると、一緒に珈琲豆が提供される。なんと、アイスクリームと一緒にそのまま珈琲豆を食べるらしい。
珈琲豆を食べるということが初めてだったが、“甘く、濃厚なアイスクリーム”と“珈琲豆を焙煎したいい香りと香ばしい味わい”が見事にマッチする。
アイスクリームに合う珈琲豆を店主が選んでいるので、珍しい食べ方を楽しんでみてほしい。
コーヒーゼリーは、“特製魔法のミルク”を入れると、甘くなり、カラメルシュガーも付いてるので、シャリっとした食感を楽しめる。
ホットケーキは、糖分20%カットで上質な小麦と新鮮な玉子とミルクから1から手作り。
特選ホットケーキ「ナオミの夢」は、小麦だけでなく、メイプルも究極の「最高級純粋有機メイプル」を使用、バターはカルピスを作る工程で、牛乳から乳脂肪分を分離する時にできるクリームから製造される「カルピスバター」を使用。
バターはコクがあり、さっぱりした味わいで、メープルは、香りが良く、いい甘さ。バターとの組み合わせも最高で、ついついかけてしまうおいしさだ。
クリームもあっさりした、ちょうどいい甘さ。タヒチバニラホイップとピンク岩塩で味変ができるので、お好みで楽しんでほしい。
その他にも色々な究極素材から作っているので、一度味わってみてほしい。
ホットケーキには、かわいいロゴの焼印が入っている。このロゴは、友人のデザイナーさんに頼んで描いてもらった。
ロゴのキャラクターの名前は“プロコちゃん”。プロコちゃんが被っているベレー帽は、ホットケーキのイメージで、1番上がバターを表している。そして、プロコップの“P”の文字が入っている。
店内に入ってすぐのところに見慣れないチケット入れがあった。筆者は初めて知ったのだが、昔の喫茶店は回数券があり、常連さんのチケットを店舗で預かり、来店時に使用するというシステムがあったらしい。
プロコップでは、現在でもそのシステムが使用されていて、風情がある。
回数券は11枚綴りで10回分の値段(コーヒーのみ、トーストモーニング、モーニング)で販売している。店舗で預かるか、個人で持ち帰りも可能。1回分お得なので、レトロなシステムを体験してみてはいかがだろうか。
コロナ禍になり、営業ができず、経営が厳しい時期があった。その時に常連さんがお店を支えようと、ビール券の販売を考えてくれた。その売り上げがあったことで厳しい時期を乗り越えることができたと、店主は感謝している。
今でもそのビール券を使わずにそのままにしている方もいる。店内のボードに残されているビール券から常連さん達の想いが感じられる。
プロコップでは、コンサートなどのイベントも開催している。“うたごえ喫茶”と呼ばれるイベントは月に1回開かれている。
“うたごえ喫茶”は古くからあり、喫茶店で生演奏を聴きながら、みんなで歌うことを言う。
高齢者(75歳以上)の方が体験していた童謡や歌謡曲などの音楽を“ともしび”という本(貸出•販売あり)を見ながらみんなで歌い、楽しんでいる。
メニューになっている「ナオミの歌」や「コーヒールンバ」も昔の歌だ。
2年前に西野さんという方が企画を持ってきてくれたことが“うたごえ喫茶”を初めたきっかけだった。
今では、大好評で多くの方が集まっている。
常連さんは、高齢者が多い。一人暮らしの方も多く、1日に話すことがない方もいる。そういう方達が、友だちを作ったり、個人の交流の場になれたらという思いで、今、教室開催に力を入れている。
教室には、「歌が上手くなる教室」や「ハーモニカ」、「ウクレレ」、「英会話」など様々なものがある。
「エンディングノート体験会」もある。店主が終活アドバイザーの資格を取得し、これからの人生を豊かなものにしていく為のサポートをしてくれる。
人生プランの見直しになるので、自分が元気なうちに作ることがおすすめで、高齢者だけでなく、その他の世代にも広めていきたいそうだ。
色々な教室開催を通して、人との関わりだけでなく、次の教室までに腕を上げる為に練習しようなど、
毎日が前向きになっている方が多い。
月1回や週1回などの開催だが、それを楽しみにしている方がたくさんいる。日曜日の定休日にお店が閉まっていることが寂しい方もいるほどだ。
店主が常連さん達を想う気持ちは、様々な教室の開催や日々の喫茶店経営から伝わっているだろう。常連さん達にとって、友だち作りや交流の場として、日々の楽しみや生き甲斐になっているに違いない。
世界最古のル•プロコップを見に、旅行に行きたいという気持ちが店主にはあるようだが、常連さんたちのことを想うと、なかなか行けないようだ。
いつか、店主の夢が叶うことを願っている。